今年来た年賀状の一枚に驚きとうれしさを感じざるを得ませんでした。その添え書きに「昨年税理士資格を取得し登録をしました」と記されていました。M氏(55歳)からの年賀状でした。
 
 M氏とは18年前の年末に求職相談でお会いしました。当時M氏は37歳で会計事務所に勤めており税理士を目指していましたが、高齢のご両親と同居する為に自宅を新築され小規模の個人会計事務所の給与では高額のローン返済を抱えることが難しくなりました
 
 M氏の相談は収入を上げるために一般企業へ転職し再度税理士を目指したいとのことでした。税理士試験には財務諸表論に合格していました
 
 M氏は会計事務所に勤める前は一般企業での経理職の経験が5年ほどありましたので再度一般企業へ転職するには37歳のその時機が最後のチャンスだと判断したようです。
 
 ただ会計事務所に勤めていたこともあり年明けの確定申告が終わるまでは現職を続け4月からの就業を目標に転職活動に入ることにしました。
 
 人材紹介アイは当時一般企業への転職情報は提携している人材紹介会社の案件をご紹介していました。年が明けM氏より詳細な職務経歴書を提出してもらい提携している人材紹介会社へ打診を始めました
 
 3月末までに該当する案件は出ず転職時期としていた4月にずれ込みましたが2社から該当する案件が入りM氏に紹介しました。M氏は2社の案件に応募し2社ともに内定を得ましたが1社は辞退し株式上場を目指すあるメーカーの内定を受諾し6月からの入社が決まりました
 
 M氏とは内定が決まった4月が最後にお会いした時でその後は毎年の年賀状だけのお付き合いとなり18年後の本年の年賀状となったのです。
 
 37歳の年齢で上場を目指す会社の管理職候補として転職したM氏が18年を経て税理士登録をしたことに驚き年明け早々に電話をさせていただきました。
 
 18年ぶりのM氏の礼儀正しい言葉使いがM氏の誠実な人柄を記憶の中からよみがえらせました。税理士になった経緯を知りたかったこととお祝いもしたかったので今月末に一席設けさせていただきました。
 
 18年ぶりにお会いしたM氏は立派な紳士となり会社も上場し管理職としての忙しい日々を送られていました。M氏が昨年税理士登録をされるまでの経緯は以下の通りです。
 
 会計事務所勤務から一般企業の経理職へ転職し3年後に固定資産税に科目合格をします税法については1科目合格すれば大学院での修士課程修了での2科目免除制度があるのでその制度を利用することにしました。大学院では良い指導教官に出会い充実した修士課程を修了できたと振り返ります。
 
 その後は簿記論の受験に専念し何度も模擬試験でA判定を取るのですが本試験になると失敗し辛酸を舐めることになり、さらには仕事も忙しくなり受験勉強もマンネリ化してしまい受かる自信が消え失せてしまったと云います。
 
 本意ではなかったのですが財務諸表論の合格があったので再度会計科目1科目免除のため50歳を超えてからの大学院修士課程への進学にチャレンジし昨年の春無事修了税理士資格を取得したとのことでした
 
 税理士資格を取得したM氏は税理士登録をする必要があるかどうか悩んだと云います。会社としては歓迎されることなのかどうかも不安はありました。
 
 直属の上司が若いころに税理士試験にチャレンジしていたことも知っていましたのでM氏は受験している事を報告していませんでした。しかしM氏の懸念は杞憂に終わりました。上司には自身の事のように喜んでもらえ社長にまで報告をしてもらえたとのことでした
 
 受験にしろ大学院への進学にしろ上場会社の管理職としての業務をしながらM氏がどのように時間をつくる事が出来たのかを聞きました。
 
 M氏は応えました。「私も家族も家ではほとんどTVを見ませんTVを見る習慣がないので家族はそれぞれ自分の時間を持てる余裕がありました」と。食事中でもTVを見るのではなく家族で会話を楽しむのが当たり前になっているとのことでした。
 
 18年前に転職した時の3歳の娘さんは大学生となり、転職してから生まれた娘さんも中学生です。今回の税理士登録に際しては二人の娘さんからはお父さんが税理士になった!」とリスペクトされ父親の権威が保てましたと笑顔が素直な気持ちを表します。   
 
 定年までの5年間、それでも無理なら65歳までの定年延長までには税理士として独立開業を果たしたいと第2の仕事舞台に思いを馳せます
 
 M氏の18年前の登録用紙の自己PR欄にはこう記されていました。「仕事熱心であるとともに粘り強く信用を重んじる性格です誠実で明るく協調性があり自己に厳しく管理することができます仕事に対する熱意は誰にも負けません」と。
 
 18年の歳月を経て有言実行のM氏が目の前にいました。
  
 (税理士)おめでとう!そして、(感動)ありがとう