前回は、現役の税理士としてどちらかというと悲観的な面でのお話をさせて頂きました。物事には表と裏、陰と陽がありますので、前回の「苦悩編」が陰とするならば今回は陽の面について記載させて頂きたいと思います。「喜び編とでも題しましょうか
 
 皆さんは、「税理士」と聞くとどのような印象を思い浮かべますか?「社会的ステータスが高い」「収入が多い」「手堅い職業」などなど様々な印象があると思いますし、どれもその一面を捉えていると思います。
 
 私が登録後税理士(所属税理士)となった時に感じたことは、「自分は今までと何も変わらないのに世間が自分を見る目が変わった」でした。登録前後でやっている仕事は変わらないし、自分自身の人間性が特に向上したとは思いませんでしたが、税理士の肩書が入った名刺交換をすると相手の今までの態度が明らかに違うのです
 
 当時は、「世の中というのは、そういうものか」と不思議に思ったのと同時に、「日本はまだまだ肩書社会なのだなあ」と痛感しました。ただし、「税理士」と名刺に入っていれば、どのような仕事をしているかは相手に一目瞭然ですし、仕事内容をクドクド説明する必要はないので非常に楽な面はあります。(笑)
 
 一概に税理士といっても、日本に77,171名(平成30年6月現在)もおり、性別、年齢、人間性、収入の多寡、実務能力、税理士となる資格(税理士試験合格者、試験免除者、弁護士、公認会計士)、社会貢献度等様々ですので、一括りに表現することは出来ません。
 
 しかしながら、世間から一定の評価を受ける国家資格はそれ程多くはありません。ですので、職業会計人として自分自身にプライドを持つと同時に常に自己肥大しないよう自分自身のバランスを取ることが重要だと思っています
 
 職業を問わず世間で良くあるように(残念ながら、税理士の中にもそのような方が少なからずいらっしゃいます)、社会で一定の成功を収めてしまうと、周囲の状況や自己を冷静に見えなくなってしまったり、人の話や注意を素直に聞けなくなってしまったりして、「自分は人とは違うのだ」「自分は偉いのだなどと自己肥大してしまうようなことは社会の一定の評価があるが故に絶対にあってはなりません
 
 閑話休題、以前から不思議に思っていたことがあります。教師が「先生」と呼ばれるのは理解できるのですが、代議士医師弁護士税理士等の職業人が何故世間で先生と呼ばれるのか? 現在でもその経緯や理由が私には分かりません。どなたか、ご存知の方がいらっしゃれば、是非お教え下さい。
 
 次に、開業税理士と登録した時の率直な思いは、「これで自由になれるの一言でした。 少し大げさかも知れませんが、勤務していた税理士事務所を退職した翌日の朝、自宅の近くを散歩している時に、空を見上げた時に、今まで見ていた色と異なる色に見えた記憶があります。やはりストレスを抱えていたのでしょうかね?(笑)
 
 税理士といっても、所属税理士の場合は勤務先である税理士事務所より給与を頂いて勤務している訳ですから、完全なサラリーマンです。サラリーマンの最大の苦悩は、「内部上司同僚等の対人関係ではないでしょうか? 私も15年程度サラリーマンをやっていましたので、少なからず苦悩はしました。(笑)
 
 小生はサラリーマン脱落組ですので、一つの会社に入社から退職まで勤務された方には一目置かざるを得ません。私はサラリーマンの退職金は長年の我慢料だと思っております。私のような自営業に我慢がないとは言いませんが、サラリーマンのような「内部の対人関係」に悩まされることは皆無です。だから、退職金がないと考えています。
 
 職業会計人たる税理士は、自分自身の持っている技術を提供して対価を得るわけですからどちらかというと職人的な面があるのですが反面自営業という点から考えれば商売ですから顧問先との人間関係の構築は必須です。お互いに人間ですから合う合わないがあります。これはどの世界に行っても同じです。
 
 ただし、自営業たる税理士の場合は、収入の多寡を考えなければ自分で顧問先を選別することができます。また、顧問先も税理士を選別できる権利があります。そこには、技術を通じての対等の関係があります。したがって、常に技術税法を研鑽し対等の関係が保てるように努力を怠らないようにすると同時に自己の責任申告書に署名押印することの重さを常に自覚することが必要です
 
 自身の技術と人間性を評価して頂いて技術を提供して対価を頂くこの喜びは経験してみないと理解して頂けないかもしれませんが私はこの喜びと自由を手放したくはありませんしそのためにも今後もより一層技術の研鑽と人間性の向上に取り組み続けていきたいと思っております
 
 そして、一人でも多くのお若い受験生の方が、一日でも早く合格され、将来「開業税理士」となられた時に、この「喜びと自由」を感じて頂けることを切に願います。
 
 (本年)8月7日~9日までの3日間は、一年に一回しかない税理士試験です。現在持てる力を2時間の試験で出せるように受験生の方のご健闘を心よりお祈り申し上げます
 
 「心は熱く頭はクールに!!」いつか、何処かで皆様とお会い出来ますことを念じつつ。
 
 拙い文章をお読み頂き、誠にありがとうございました.