今月の16日に税理士試験の発表がありました。今回のN氏の投稿にも税理士試験合格に必要な5科目の合格のためにその2倍から3倍の不合格を経験したとあります。苦い経験を乗り越えての合格、そしてさらに実務経験の壁が立ちはだかります。N氏の投稿(中)をお読みください。
  
 大学院修了後は、一般の企業に勤めました。学歴は全く関係のない職場です。ここから数年は、非常に苦しい時期が続きました。最終的に試験には5回受かっていますがその2倍から3倍の不合格がありました
 
 特に最後の1科目には、数年かかりました。「今年こそは受かると思った年に不合格だった時涙は全く出ませんでしたが横になったまま身体がピクリとも動かせなくなりました。多くのことを犠牲にしてきました。友人も切りました。家族も切捨てました。そのことを考えると、悔しくて、恥ずかしくて、動けなくってしまったのです。
 
 ただ、そんな私にも官報合格を果たしたときがあったのです。安堵の気持ちはありましたが喜びや達成感はほとんどありませんでしたストイックにならないとダメだと自分に言い聞かせてきたことが馬鹿らしくそのことへの悔しさが自然と涙になりました
 
 受験生の方には酷な話かもしれませんが、合格したところで何も変わらないのです。変わってはダメなのです。何かを犠牲にしなければ、受験を乗り越えることが出来ないのは現実でしょう。しかし、犠牲にしたものは一生戻ってきません。それに耐える強さも必要ですが、それよりも、必要以上に何かを犠牲にする必要はないのではないかというのが今の私の考えです
 
 さて、なんとか税理士試験には合格しましたが、私には実務経験が全くありませんでした。35歳にして会計事務所へ転職することは勇気が入りましたが、迷いは全くありませんでした。
 
 税理士試験に合格しているということもあり、中規模の税理士法人に採用してもらうことが出来ました。全くの未経験ではありましたが試験に合格していたこともありなんとかなるだとうという楽観的な気持ちで臨みました。雇って頂いた税理士法人の側でも、多少は使い物になるだろうという期待もあったようです。
 
 ところが、実務は甘くはありません。当初はほとんど戦力になれず、非常に苦労しました。規模が拡大しつつあった税理士法人でもあり、35歳の新人に丁寧に指導する体制は何もありませんでした
 
 一番困ったのは、会計ソフトと申告ソフトの操作です。次に困ったのが、クライアントからの資料収集などです。受験勉強では、会計ソフトや申告ソフトは無縁です。クライアントとの打合せや資料提供を通じての事実確認という大切な過程も受験の世界には存在しませんこれらの実務感覚をつかむのに1年近くの期間を要してしまいました
 
 受験時代に、きちんと腰の座った勉強をしたつもりでいましたから、実務でも多少は仕事ができるだろうという甘い考えがありましたこれは受験勉強に専念してきた人達が陥る誤解だと聞きます。私もその例外ではなく、その勘違いを犯していたのです。
 
 会計事務所デビューから最初の1年程は、レシートの整理や会計ソフトの入力方法を覚えることで精一杯です。最初に勤めた会計事務所はあまりうまく行かず残念ながら丸1年経験せずに退職しました。多少の実務のコツもつかみ始めた頃でしたが、一から出直したいという思いがありました。
 
 最初に勤めた税理士法人は、受験予備校系列の人材紹介会社から、勧められるままに決めましたが、次の就職先は、自分自身で良く考えました。どうせならばトップレベルの先生のもとで経験(修行)をしたいと思い本格派として業界でも知られるK先生のもとに絞りました
 
 大変厳しい会計事務所として有名でしたが、その会計事務所への紹介実績が複数あるという話を聞きつけ、大阪の人材紹介アイさんを訪ねました

 

次回(下)に続く。