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ある会計事務所の後継税理士募集のご案内

 今回はある会計事務所(所長O氏)の後継税理士の募集についてご案内します。税理士業界では開業税理士のうち今後10年間に70歳代の半数の税理士と80歳代の税理士の方々(全税理士登録者の約20%を占めます)が後継税理士の問題に直面します。
 
 O氏は今年還暦60歳を迎える開業26年目の税理士です。O氏とは28年前(O氏32歳の時)に転職のご相談を受け大阪の医業特化型の大手会計事務所へ紹介した経緯があります。
 
 当時O氏は外資系の大手会計事務所に勤務されておりコンサルティング業務に従事されていました。O氏の転職希望は本来の税理士業務に就くことでした
 
 上述した大手会計事務所を紹介し採用されたO氏は期待を大いに上回る実績を残し2年後に実家のある中部圏の主要都市で独立開業をしました。開業1年目にO氏の会計事務所を訪問しO氏の口から出た言葉は今でもはっきりと記憶の中に残っています。
 
 「この1年間は一日も休みを取っていません仕事が面白くて休もうと思いませんでした今までに2000枚の名刺を配りましたが顧問先を獲得することがこれだけやりがいのある仕事だとは思いませんでした」と。
 
 O氏は地元の国立大学の医学部に入り込むことが出来ました。教授の個人的な引越しはもちろんありとあらゆることをしたと云います。奥さんが風邪を引けば近くの開業医に行くのではなく顧問契約のアプローチしている遠くの開業医までわざわざ連れて行きました。
 
 O氏の会計事務所は大手企業の支店が多数入る市内でも有数のビルに入りました。これも顧問先からの信用を勝ち取るためだと云います。
 
 事務所を拝見した時すでにデスクが10台も配置されていたのには驚きました。奥さんと二人だけの事務所にも関わらず10台のデスクが配置されていたのでO氏に聞きました。
 
 現在は職員はいませんが、事務所に導入したコンピュータシステムの担当者を口説き落としましたので彼が最初の職員になると思いますとのこと。デスクを10台配置したのは一日も早くデスクの数だけ職員を増やすことを楽しみに日々の仕事に励めるよう敢えて先に結果ありきを実践しているのだと目を輝かせていました
 
 その後は年賀状のやり取りと数年に一回の電話での近況報告をするぐらいでしたが、確実に顧問先件数を伸ばし職員の数も2桁に乗せ20名ほどの大規模事務所開業税理士事務所の約1%に近づくまでに育て上げました
 
 また自身も大学院の客員教授や講師として招聘(地元の短大の税務講師に就いたときに実務の経験をしてもらおうと地元の税務署に掛け合い担当の生徒を確定申告時期にアルバイトとして就業させたことが評判になったことがきっかけとのこと)をされ充実した税理士としての日々を送られていました
 
 そしてこの夏、O氏からの久しぶりの電話を受けました。「事務所の後継税理士を探しているのですがなかなか思うような人材が見つからず相談に乗っていただきたい・・・」とのことでした。O氏は今年還暦を迎えますが、税理士業界では60歳代は全税理士の30%を占め働き盛りのまさに油の乗り切った世代にこれから入る年齢です
 
 なぜ後継者を探しているのかを聞きました。聞くところによると地元の開業税理士の先輩が後継税理士に苦労されているのを知り、自身の問題として考えると何もしていなかったと気付いたとのことでした
 
 事務所も職員も納得のいくレベルにまで育ってきましたが、(事務所には数名の国税OBの税理士とは業務提携はしていますが)職員の中に税理士資格者はおらず唯一の税理士のO氏に万が一のことが起こったら税理士業務に支障をきたし結果として職員と顧問先に迷惑をかけることになることは火を見るよりも明らかでした
 
 O氏は云います「初めに後継税理士ありきではありません会計事務所経営はそんなに甘くはありません結果として経営能力が付いた時点で後継税理士にバトンタッチをしたいと思います」と。ただ4~5年は全身全霊をかけて後継税理士を育てたいと意欲を覗かせます
 
 O氏の会計事務所の後継税理士として将来の自身の姿をオーバーラップできる志ある税理士の方がおられましたら自薦他薦は問いませんのでご一報ください
 
 今度は・・・、いよいよあなたの出番です! 

『税理士試験受験生の為の求職相談』のご案内

 税理士試験後に会計事務所への就・転職を考えている税理士試験受験生の為の求職相談を実施しています。
 孫子の兵法書で「己を知り、敵を知れば、百戦危うからず」は有名な格言です。会計事務所は敵ではありませんが業界としての様々な特色があります。税理士は素晴らしい職業ですが資格業であるがゆえに税理士資格がないと就けない責任を取れない仕事でもあります
 税理士試験の受験勉強と会計事務所での仕事の二足の草鞋(わらじ)を履くことはこのブログでも紹介しましたように先輩たちは各人各様の苦労をされてきました。一人一人の置かれた立場は違いますし考え方も十人十色です。ただ目的は一つです。「税理士になることです
 税理士そして税理士試験受験生を会計事務所へ紹介をさせていただいた長年の経験からアドバイスできることがあります。ぜひ、皆さんの「税理士になる」目的のために『税理士試験受験生の為の求職相談』をご利用ください。概要は以下の通りです。
 
☆☆☆『税理士試験受験生の為の求職相談』概要☆☆☆
 
相談者
税理士試験の受験生で資格及び会計事務所の経験は不問
 
場所等
人材紹介アイの面談室(ホームページの「会社概要」を参照)
*三ノ宮(神戸の方)、四条烏丸(京都・滋賀の方)、難波(南大阪の方)での求職相談(場所は当方よりご連絡します)も可能です。
*お電話だけでの求職相談もお受け致します。
 
相談日時
平日(月~金)及び土曜日の10時~20時
 
相談時間
上記時間帯で所要時間は60分~90分です。(無料)
*お電話の場合は30分~45分です。(無料、当方よりお電話致します)
 
持参書類
履歴書(PCで作成した履歴書、写真は不要)、面談にはラフな服装でおいでください。
 
相談予約
電話での申込み:06(6374)8466へお電話下さい。
メールでの申込み:ai@sora-ai.co.jp へ送信して下さい。
  
 以上、いずれの場合も①ご希望の日時と②面談か電話かのご希望と住所氏名電話番号、税理士試験の合格科目の有無会計事務所での就業経験の有無をご連絡ください。
 
 なお、人材紹介アイのホームページの「求職相談」からの申し込みも出来ますのでよろしくお願い致します。

M氏のプロフェッション戦略(下)

 「石の上にも3年」とはよく云われますが、M氏も開業3年目ごろから事務所の将来像を考える余裕が出来たと云います。今月M氏はめでたくご結婚をされました。充実した日々を送るM氏に最後の投稿をしていただきました。
 
 1年を過ぎたころからポツポツと問い合わせも増えてきて少しずつ事務所経営も安定するようになってきました。とにかく会計士協会と税理士協会に払う年会費(まあまあ高い)だけでも稼がないとひたすら赤字が続いてしまうので・・・。
 
 やはりホームページを制作したり、いろんなところへ挨拶に行くことの効果は少しタイムラグがあるようです。独立開業を目指す方はこの最初の1~2年を我慢できるかどうかが最初の壁だと思います
 
1年目→大赤字(笑)、ただし時間的余裕のあるこの時期にいろいろ手を打つ必要あり!
2年目→トントン(汗)、ここを我慢できるかどうか!
3年目→普通のサラリーマンの感覚になれる(安堵)、このあたりから事務所の方向性が見えてきます!
 
 そして開業4年目に突入した今今後の展望を色々考えるようになってきました。税理士や会計士を目指すのであれば顧問先の経営計画に携わる機会もあると思いますが、自分自身の事務所経営にも同じことが言えます。中小企業の場合はあまり長すぎる計画は絵に描いた餅で終わってしまうので一般的には3年ぐらいを1つのスパンで考えることが多いのではないでしょうか
 
 実際に私の事務所も3年かけて顧問先がゆっくりと増えてきたのでそれまでは1人で頑張っていました。そして3年目の終わりごろに初めてパートの事務員さんを雇うこととなり次のステップに向かうこととなりました
 
 当初は「採用なんかしても大丈夫かな?」と不安がありましたが、今振り返ってみるとこのタイミングで採用して本当によかったと思っています。特に採用は「縁」ですから欲しい時に欲しい人材が来るとは限りません。(いやぁ~、ほんとにこの時にいい人が来てくれました!)
 
 他にもこの時期になると「事務所を広いところに移転しようかなぁ~?」と思うようにもなりました。(ただ創業地に思いのほか愛着がわき、狭くてもここでいいかとの思いもあります)それもこれも3年経過し事務所経営がある程度安定したことで心にも余裕が生まれたためだと実感しています
 
 おそらくまた3年後には新たなステージの岐路に立ち、どうすればいいのかと云うなかなか結論の出ない悩みを抱えているものと思います。
 
 ちなみに私の事務所では創業からの顧問先が多いため、社長に「こうしたらいいんじゃないですか・・・」等とアドバイスをしているうちに自分自身の事務所に対しても知らず知らずのうちにアドバイスをしているような感じになっています.
 
 確かに、顧問先の売上を伸ばすために投資や融資採用の話をしているのに自身が実践しなければ全く説得力がありませんからね・・・
 
 むしろ、顧問先へのアドバイスを自身で試すことができるのは事務所経営をしている特権ともいえるかもしれません。この試行錯誤を繰り返す3年周期を何回も経て顧問先とともに私の事務所も一緒に成長していければと考えています。
 
 10年後には私も50歳目前となり、事務所の経営改革も2~3回転して色々と雰囲気も変わっているかもしれません。(ひょっとするともう閉鎖しているかも・・・、最悪の結果もあるかもしれませんが)
 
 ただ、そういうこともあり得るということを常に頭に入れておかなければ少し大げさかもしれませんが自分自身が経営者として事業を行う資格はないと思います
 
 世の中には絶対はないので自分自身も常に向上心を持って、そして危機感を持って毎日の経営に当たらなければならないと肝に銘じておかなければなりません。
 
 そして、今後については今日より明日明日より明後日と少しずつでも顧問先のために知識を磨き経験を重ね信頼を得られるように努力をしていきたいとの思いを強く感じています

M氏のプロフェッション戦略(中)

 今回のM氏の投稿は開業1年目についてです。大阪を離れ実務経験は最小限での地元に帰っての独立開業です。さて・・・・・、自己評価はどうだったのでしょうか。
 
 こうして無事に公認会計士と税理士の登録ができた私は早速独立開業する道を選びました。登録ができてもしばらくはそのまま勤務するという方法もありましたが、試験を受けるときから独立することを目標としていた私には即独立ということしか頭にありませんでした
 
 ちなみに8月末に会計士登録が完了9月末に税理士登録が完了そして10月に個人事務所開業という怒涛のスケジュールでした
 
 ご存知の通り会計士や税理士はそれぞれの会に登録しなければ仕事ができませんが、登録するには結構な費用がかかるのも事実です。
 
 と云うことで、その登録費用や年会費を稼ぐため一生懸命働こうと決めましたが、大阪から地元に戻った私には特に知り合いからの紹介もなく開業してしばらくは電話やメールを待ちながらどうやって営業しようかひたすら考えては実行に移す日々でした。それでもなかなか電話は・・・、鳴りませんでした。
 
 サラリーマンの頃は定時退社そして土・日・祝日の休みは嬉しいものですが、自分で事務所を持つようになると時間が余るのは逆に少なからず苦痛に感じてしまうのも不思議なものです。まあ、こうなることは想定内ではあったので特に焦らずしっかりと自分のできることをやろうと考えていました。
 
 そうこうして1か月ちょっと経った頃、初めて問い合わせの電話が鳴りましたこれから開業を考えているお客様からの問い合せでしたもちろん二つ返事でやらせていただきます
 
 これまでにこれほどうれしい電話はあったかというくらいの感動でしたこの感動はやはり独立開業しなければ味わえないものです。そうと決まれば後はやるのみ。お客さんから創業のために考えていることをヒアリングし、融資が必要となれば事業計画の作成もお手伝いし、自分が持てる知識を全てフル活用しました。
 
 こうやって仕事をしながら思ったのが「やはり自分は裏方の仕事が向いているのだ・・・」と云うことでした。会計事務所の仕事は裏方の仕事でありあくまでも主役は顧問先の社長や社員の皆様だということです。顧問先がスムーズに業務を行い、会社を成長させていくことをお手伝いすることが会計事務所の役目であると心底思っています。
 
 ところで、仕事をするうちに気付いたことですが、いや前に働いていた時に薄々気づいてはいたのですが、やはり会計事務所は会計だけをやっていれば良いというものではないということです。お客さんの創業にあたって開業届を提出したりするのはもちろんのこと、社会保険の届出はどうしたらいいのか等会計以外のことも聞かれます。
 
 会計事務所は顧問先にとって一番身近な士業なのかもしれません。ただし当然ですが他士業の業務範囲に踏み入ってはいけません。ということで、士業のネットワークを構築することにも力を入れるようにしていきました
 
 創業登記にあたっては司法書士と、社会保険や助成金の手続きに関しては社会保険労務士と、建設業関係は行政書士と、まさかの訴訟の時は弁護士という風に。当たり前ですが、いくら資格を取ったところで一人では仕事はできません痛感しました
 
 その後はいろいろと足を使いお客さんを探し回ったり、築き上げた士業のネットワークから紹介を受けたりと色々やっているうちにぽつぽつと仕事が入ってくるようになりました。
 
 ありがたいのはどの顧問先も私の話し方や様子を見て依頼をしてきてくれているのでスムーズに毎月の業務ができる点です。決して愛想がいいとは言えないこの私に・・・。
 
 したがって、私もまた顧問先のためにお得になるような税制がないかどうか調べてみたり銀行からの融資は少しでも金利が安くなるように交渉の場に同席したりと出来ることをすべてしようという思いを持ち続けられるようになりました
 
 確かに個人事務所でゼロから開業するのは精神的にも金銭的にもかなり大変ですが、それを乗り越えることができたら自分のやるべきことや大事にしなければならない事が自然と見えてくるようになってきました
 
 このようにして開業1年目は「無事!?に乗り越えることができた」と自己評価をしています。感謝

 
次回(下)に続く。

M氏のプロフェッション戦略(上)

 成功する人は「自身にあるものを最大限使える人」だと云われます。今回は税理士になるために会計士試験の制度変更を利用し税理士の資格を手にしたM氏(36歳)の受験から開業、そして今後のことを投稿していただきました。
 
 私は税理士試験と会計士試験の両方を受験していましたが、当初は地元で活躍できる税理士を目指すため税理士試験を受験簿記・財表には合格していました。そもそも税理士を目指したのは大学の学部が経済学部だったということもあり会計、経営に興味があり、一生の仕事として捉えられる職業と思ったからです
 
 とはいえ大学生のころはそこまで熱心に勉強していたわけではありません。その後、縁もあって地元の税理士事務所に就職することができました。そこでバリバリ仕事をしている所長の姿を見て自分も資格を取得したいと真剣に思うようになりこの時期から本腰を入れて勉強を始めることになったのです
 
 ただ、ちょうどこの頃公認会計士の試験制度の変更が行われ税理士試験から公認会計士試験の鞍替えを決めたのです。理由は以下の3点です。
 
公認会計士試験の制度変更により合格者を増やすというアナウンスがあったこと
公認会計士の登録ができれば税理士の登録もできるということ
とにかく短期間で結果を出したかったということ
 
 まず、①の合格者を増やすというのにはかなり魅力を感じました。私みたいに特別勉強ができるわけでもない人間が結果を残すには戦略が必要になります。公認会計士試験の合格者を増やすというアナウンスを聞いた時にふと思ったのが「たぶん合格者が増えるのは最初の2~3年だけだろう」ということです。
 
 大体こういう場合の制度変更ではそのルールを作った側の顔を立てるため必ず最初は想定通りの結果を出すように調整します。ご存知の通り一旦合格者はアナウンスした通りの人数となりますがその後は激減しました。このことは司法試験も同じでした。しかし、だらだらと長期間勉強する気のなかった私にはタイムリミットがある方がちょうどよかったのです。
 
 次に、②の税理士登録もできるという点はなんとなく知っていました(だから試験を切り替えたのですが・・・)。実をいうと地元に大企業がない私にとって公認会計士という職業には全く触れる機会がなかったのです。そのため仕事内容もほとんど知らず・・・、今思えばその方が変に気負わず受験できたのかもしれません。
 
 そして、③の短期間で結果を出したかったというのも大きな理由の1つです。世間的には税理士試験は仕事をしながら1科目ずつ合格し10年くらいで5科目合格を目指す感じですが会計士試験は原則一括合格で大体2回の受験勉強期間は2年半から3年くらいでしょうかで合格する方が多いいのです
 
 ということもあり私は縁があって税理士事務所に就職したにもかかわらず1年ほどで退職し公認会計士試験の受験勉強に入ったのです。(ご安心ください!その会計事務所とは今でもお付き合いをさせてもらっています)
 
 そして、本格的に受験勉強に入りましたがはっきり言ってこの頃の記憶はほとんどありません。なぜなら私の場合、全ての講義をWEB通信で受けていた為にどこにも行かず、ただただひたすらに勉強だけをしていたからです最低1日12時間365日1日も休まず私が受かるまで約2年半の間です
 
 勉強方法はいたってシンプルでした。コツコツとテキストとテストをこなすのみ。独断と偏見ですが資格試験で重要なのは「穴」を作らないことです受験生みんなが知っていることを自分だけ知らないのは致命的になります
 
 公認会計士試験は得点比率でいうと50%ちょっとで受かる試験です。受験生皆がそんなにできるわけではないのです。だからこそ穴を作らないようにまんべんなく勉強していれば何とかなります。普段からちゃんと勉強していれば本試験の時も解ける問題は解けるし、解けない問題は周りも解けないと安心できます。
 
 そんな感じでがむしゃらに勉強することで何とか合格奇跡!)できたのです!ただここで問題が起きます。会計士は試験合格後に補習所というところで研修を受けなければならなかったのです。そのことを全く知らない私は地元から近い大阪の補習所に通うべく引越しをするのですが仕事の宛は何もありませんでした。
 
 その時にお世話になったのが人材紹介アイでした。紹介を頂いた会計事務所に就職し、その後一度の転職を挟んで公認会計士の登録に必要な実務経験と研修をクリアし、とうとう念願であった公認会計士と税理士の登録をすることができました


次回(中)に続く。
 

税理士業界の世代交代と承継対策

 税理士業界の高齢化についてはこのホームページに掲載している「税理士実態調査報告書」にも明確に記載されています。高齢化は必然的に世代交代をもたらします開業税理士の世代交代には顧問先の承継対策が最優先対策(顧問先あっての税理士業です)となります。いわゆる会計事務所の事業承継の重要課題です。
 
 現在、開業されている税理士(税理士登録者の77%が個人事務所を開業)の年齢構成は上記報告書によると以下の通りです。
20歳代:0.1%  30歳代:5.0%   40歳代:13.5%  50歳代:18.1%
60歳代:35.4%  70歳代:15.4% 80歳代:12.0%  無記入:0.5%
 
 世代交代年齢でもある70歳以上の開業税理士の割合は全開業税理士の27.4%にも当たります。おそらく今後10年間で80歳代の方と70歳代の半分の方々が世代交代に直面すると推測すれば開業税理士の約20%近い割合の方々5人に一人の割合になります。税理士は一身専属の資格業ですからその約20%の開業税理士の方々の顧問先は他の開業税理士(又は税理士法人)へ承継されていくことになります。
 
 今回は税理士の世代交代(開業税理士の事務所の承継対策)についてTKCの第3回事務所実態調査表」(平成27年6月調査)より関西地区のTKC会員の承継対策についてのデータ(関西地区の近畿大阪会、南近畿会、近畿京滋会、近畿兵庫会の四地域平均データ)をご紹介します。(TKC全国会は全国の税理士登録者約76,000名のうち約11,000名が加盟する国内最大の税理士組織で2021年に結成50周年を迎えます)
 
1、 事務所の承継対策について
・緊急の課題として考えている        8.2%
・近い将来(10年以内)の課題      27.2%
・近い将来ではないが常に考えている    17.1%
・時々考える               16.8%
・考えたことがない            18.8%
・既に対策が完了している         11.9%
 
2、 現在の事務所後継候補者の有無
・身内の後継候補者がいる         22.0%
・身内以外の後継候補者がいる       13.7%
・税理士法人化を考えている        17.7%
・上記以外(3、で回答)         46.6%
 
3、 上記2上記以外と答えた方の対応
・所内の後継者育成を考えている      27.1%
・今後、所外から後継候補者を採用する    7.3%
・事業譲渡                11.1%
・自然な成り行きに任せる         47.6%
・その他                  6.9%
 
4、 事業譲渡をお考えの場合優先的に考慮する点上位3点回答
・関与先の継続関与            28.7%
・職員の継続雇用             27.2%
・事業譲渡額の有無            10.6%
・利用システムの適合性          10.9%
・相手の性格・能力            21.9%
・その他                  0.5%
 
 TKCの上記データによれば35.4%の会員事務所で承継対策は今後10年以内の課題と捉えており後継候補者については約半数が税理士法人化も含め承継の方向は定まってはいますが約半数は今後の課題であることを示しています。特に後継者の決まっていない会計事務所のうち約半数は「自然の成り行きに任せる」となっています。
  
 前回のブログで税理士試験受験生(40歳迄)の激減現象をお知らせしましたが税理士業界での世代交代と承継対策は待ったなしの重要課題になっているのです
 

税理士試験受験生の減少推移

 税理士試験受験生の減少に歯止めがかかっていません。現象のきっかけは2008年のリーマンショク前にさかのぼります。2005年(平成17年)をピークに減少が始まり2011年に22年続いた5万代を割り込み昨年(2016年、平成28年)まで右肩下がりが続きます。
 
税理士試験受験生(総数)と税理士試験5科目合格者(総数)
           (受験者総数)   (5科目合格者総数)
2005年(平成17年):56,314名    1,055名
2011年(平成23年):49,510名    1,094名
2016年(平成28年):35,589名      756名
 
上記項目での関西地区は
           (受験者総数)  (5科目合格者総数)
2005年(平成17年):11,697名      226名
2011年(平成23年):10,128名      227名
2016年(平成28年): 6,962名      186名
 
 上記より関西地区は受験生総数の減少は全国レベルより減少率は高いが5科目合格者の減少は全国レベルより10ポイント以上高く健闘が目立ちます
 次に22年続いた5万代の受験者数が初めて5万名を割り込んだ2011年と昨年の受験者数、5科目合格者の年齢別の減少推移は以下の通りです。
 
年齢別の受験者総数
        2011年(平成23年)  2016年(平成28年)
25歳以下     8,066名   →  4,451名
26~30歳   10,955名   →  6,380名
31~35歳   10,995名   →  6,918名
36~40歳    8,520名   →  6,351名
41歳以上    10,974名   → 11,489名
 
年齢別の5科目合格者
         2011年(平成23年)  2016年(平成28年)
25歳以下        76名    →      53名
26~30歳      202名    →   123名
31~35歳      305名    →   151名
36~40歳      251名    →   150名
41歳以上       260名    →   279名
 
 年齢別で顕著なのは受験者数5科目合格者数ともに40歳までは確実に減少しているのに40歳以上は逆に増加していることです。おそらく40歳代で3科目以上の科目合格をされている方は合格まで頑張り続けるのが原因になっているのかもしれません。
 最後に女性の受験者数、5科目合格者の減少推移を上記と同じ総受験者5万名を割り込んだ2011年と昨年を比較してみます。
 
女性の減少推移
        2011年(平成23年)   2016年(平成28年)
受験者総数    12,082名   →  8,815名
5科目合格者数     272名   →    192名
 女性の受験者数、5科目合格者数も確実に減少をしています。
 
 税理士は素晴らしい職業です。人材紹介アイは20代、30代の方の税理士試験へのチャレンジを大いに期待し、税理士そして税理士試験受験生への会計事務所への就・転職支援により一層精進してまいります。
 
 ガンバレ!受験生。 

税理士N氏の『合格まで合格から』(下)

 人材紹介アイの求職相談に来られたN氏は就業したい会計事務所を逆指名してきました。通常は求職相談に来られた方の希望条件等をお聞きして人材紹介アイから会計事務所をご紹介させていただきますがN氏から「K事務所を紹介してください」と云ってきました。今回は最終回、N氏の独立までの話です。
 
  人材紹介アイの松本さんからは、業務レベルが高く仕事には厳しい事務所だということ、私の実績・経験では難しいかもしれないということをお聞きしました。それでも、どうしても話を繋いでほしいとお願いし面接へと漕ぎ着けました
 
 面接の1時間ほど前に、松本さんからお電話を頂き、「自分の思っていることを素直に話してくればいい」とアドバイスを頂きました。
 
 その後、面接で私が申し上げた言葉の中で、真に意味のある内容は、「しがみついてでも頑張りますというその一言だけだったと記憶しています
 
 面接を終えて30分後、松本さんから採用だと携帯に連絡がありました。今振り返ってみると、事前に松本さんが強く後押しをしてくれていたのだと想像しています。
 
 さて、「しがみついてでも頑張る」と言った私の最初の1年は、まさにしがみついているだけの状況でした。仕事は大変厳しく体力・気力ともにタフなものを要求されましたしがみついているだけなのに1円に至るまで残業代も頂きました感謝しています
 
 この事務所には、5年間お世話になりました。普通の会計事務所では経験できないような大きな経験も沢山させていただき小さな経験の積み重ねも沢山させていただきました。その一つ一つは重く、ここで申し上げることは到底出来ません。
 
 今この文章を書いている私はK先生の元を離れ開業税理士としてスタートを切ったばかりですが、税理士としての私のすべては雇って頂いたK先生とご指導して頂いた上司・同僚のお陰だと思っています
 
 しがみつくという気持ちではいましたが、いつかは師匠のもとを離れるというのも必要です。ゼロからの出発で不安もありましたが無理をいって退職をお許し頂きました
 
 退職間際になり、私が担当していたお客様に退職の旨を伝えると、幾つかのお客様から、「顧問契約を解約します」と言われました。お客様から解約と言われたのは初めてで、一瞬意味がわからなかったのですが、それは、私が独立をするならば応援してやろうという意味でした
 

 独立してゼロからスタートすることを決心していましたから、涙が出るほど有り難いお言葉でした。ただ一方で、この業界では、独立時にお客さんの取り合いをするという悪しき風潮があります。
 
 一から私を鍛え上げて頂いた勤務先につばを吐くようなことだけは絶対にしたくないという思いがありました。私のその気持は私よりもずっと年上のそのお客様たちは見抜いていました
 
 『私がK先生のところに行ってきちんと仁義を通すお前は何も心配することは無い』これが、そのときにお客様から頂いた言葉です。
 
 後日、私が退職をする前に、お客様がK先生のもとを訪ねて下さいました。解約の申し出をしに来られたお客様と私を前にして、K先生が言ったのはたった二言です。
 
 『今後ともNのことをよろしくお願いします
 
 『どうか顧問料を下げずに今まで通りNのことをかわいがってやって下さい
 
 過去にもK先生のもとを離れて独立した税理士は70名以上いると聞いています。ただ、私のような不義理なことをした職員がいたということは、聞いたことがありません。
 
 それにもかかわらず、すべてを飲み込んで頂いたK先生に対しては私が一人前の税理士になって恩返しをする以外にはないと思っています
 
 素晴らしいお客様にも恵まれ、また尊敬する先生のもとで修行をさせてもらえたのは、幸運でした。私は、人材紹介アイの松本さんにご縁を繋いで頂き、そのご縁が、5年後にこのようなブログへの投稿と云う形になりました。
 
 私のこの幸運の出発点は人材紹介アイさんを訪ねたところから始まっているのです

税理士N氏の『合格まで合格から』(中)

 今月の16日に税理士試験の発表がありました。今回のN氏の投稿にも税理士試験合格に必要な5科目の合格のためにその2倍から3倍の不合格を経験したとあります。苦い経験を乗り越えての合格、そしてさらに実務経験の壁が立ちはだかります。N氏の投稿(中)をお読みください。
  
 大学院修了後は、一般の企業に勤めました。学歴は全く関係のない職場です。ここから数年は、非常に苦しい時期が続きました。最終的に試験には5回受かっていますがその2倍から3倍の不合格がありました
 
 特に最後の1科目には、数年かかりました。「今年こそは受かると思った年に不合格だった時涙は全く出ませんでしたが横になったまま身体がピクリとも動かせなくなりました。多くのことを犠牲にしてきました。友人も切りました。家族も切捨てました。そのことを考えると、悔しくて、恥ずかしくて、動けなくってしまったのです。
 
 ただ、そんな私にも官報合格を果たしたときがあったのです。安堵の気持ちはありましたが喜びや達成感はほとんどありませんでしたストイックにならないとダメだと自分に言い聞かせてきたことが馬鹿らしくそのことへの悔しさが自然と涙になりました
 
 受験生の方には酷な話かもしれませんが、合格したところで何も変わらないのです。変わってはダメなのです。何かを犠牲にしなければ、受験を乗り越えることが出来ないのは現実でしょう。しかし、犠牲にしたものは一生戻ってきません。それに耐える強さも必要ですが、それよりも、必要以上に何かを犠牲にする必要はないのではないかというのが今の私の考えです
 
 さて、なんとか税理士試験には合格しましたが、私には実務経験が全くありませんでした。35歳にして会計事務所へ転職することは勇気が入りましたが、迷いは全くありませんでした。
 
 税理士試験に合格しているということもあり、中規模の税理士法人に採用してもらうことが出来ました。全くの未経験ではありましたが試験に合格していたこともありなんとかなるだとうという楽観的な気持ちで臨みました。雇って頂いた税理士法人の側でも、多少は使い物になるだろうという期待もあったようです。
 
 ところが、実務は甘くはありません。当初はほとんど戦力になれず、非常に苦労しました。規模が拡大しつつあった税理士法人でもあり、35歳の新人に丁寧に指導する体制は何もありませんでした
 
 一番困ったのは、会計ソフトと申告ソフトの操作です。次に困ったのが、クライアントからの資料収集などです。受験勉強では、会計ソフトや申告ソフトは無縁です。クライアントとの打合せや資料提供を通じての事実確認という大切な過程も受験の世界には存在しませんこれらの実務感覚をつかむのに1年近くの期間を要してしまいました
 
 受験時代に、きちんと腰の座った勉強をしたつもりでいましたから、実務でも多少は仕事ができるだろうという甘い考えがありましたこれは受験勉強に専念してきた人達が陥る誤解だと聞きます。私もその例外ではなく、その勘違いを犯していたのです。
 
 会計事務所デビューから最初の1年程は、レシートの整理や会計ソフトの入力方法を覚えることで精一杯です。最初に勤めた会計事務所はあまりうまく行かず残念ながら丸1年経験せずに退職しました。多少の実務のコツもつかみ始めた頃でしたが、一から出直したいという思いがありました。
 
 最初に勤めた税理士法人は、受験予備校系列の人材紹介会社から、勧められるままに決めましたが、次の就職先は、自分自身で良く考えました。どうせならばトップレベルの先生のもとで経験(修行)をしたいと思い本格派として業界でも知られるK先生のもとに絞りました
 
 大変厳しい会計事務所として有名でしたが、その会計事務所への紹介実績が複数あるという話を聞きつけ、大阪の人材紹介アイさんを訪ねました

 

次回(下)に続く。

税理士N氏の『合格まで合格から』(上)

 今回は税理士N氏の投稿です。N氏は強く印象に残る税理士でした。5年前に求職相談でお会いしN氏自身が希望する会計事務所を紹介させていただきました。N氏は期待以上の仕事をされ本年円満退職し独立開業をしました。N氏の今日までの軌跡をN氏の投稿からお読みください。
 
 私が税理士試験の受験勉強を始めたのは、22歳の時でした。22歳といえば、大学を卒業する頃ですが、私は、まだ大学三回生になったばかりの時でした。高校時代はクラブ活動に没頭し大学浪人の初期にはアルバイトに熱中し結局普通より2年も遅く大学に進学していたからです
 
 今思えば、大変理解のある両親と、裕福とは言わないまでも、それなりに恵まれた経済環境にあったのだと思います。関西のいわゆる有名私大に進学しましたが自分にはもったいない程の学歴を得たものだと当時はそれなりに嬉しかったことを覚えています
 
 その一方で、大学へ進学できたのは、自分の能力や努力というよりも、2年間も浪人することが出来た恵まれた家庭環境のお陰だという気持ちがありました。苦労して学業を積み重ねた友人たちに対しとても後ろめたい気持ちが少なからずありました
 
 私が税理士受験にチャレンジしてみようと思ったきっかけはこの後ろめたい気持ちと無縁ではありません。大学三回生にもなると、周りが就職活動で動き始めます。私も、その波に乗っていれば、おそらく、普通のサラリーマンにはなれていたでしょう。
 
 2年浪人したのにも関わらず、大学では体育会に入部し、全国レベルの有名選手たちとそれなりに真面目に活動をしていました。当時は、暗黙の『体育会系枠』というのがあったようで、まわりを見渡してみても、決して不利な就職戦線を戦うとは思えませんでした。
 
 しかし、大学生の就職活動というのは、やはり学歴(大学名)がものを言う世界です。両親の金銭的余裕で得た学歴に後ろめたさを感じていた私は、それならば、いっそ学歴の関係のない世界で勝負してみようという無謀な志をもったのです
 
 資格商売を営んでいる人が、なぜその資格を取ったのかと問われた時、「その職業に魅力を感じたから」と答えるべきだということは、よく知っているつもりです。ただこれは、その後の後日談や美談であって、実際にはそういう人ばかりではありません。
 
 少なくとも私は、学歴以外のところで勝負してやろうという妙な野心と自分の実力なら税理士くらいが限界だろうという冷静な打算これが税理士試験受験の動機でした。国家試験というものに挑戦してみようというチャレンジ精神が、税理士試験の受験勉強を始めたきっかけでした。
 
 学習は簿記3級の独学(通信)からはじめ、3級・2級を受験せず、約半年で一気に1級まで進みました。学歴を捨てると決めましたから、受験資格に1級が必要だと考えたからです。結果はわずかに届かず合否という面からは失敗からのスタートでした
 
 しかし、ここで大きな収穫がありました合否云々を超えて純粋に勉強自体が面白いなと感じ始めたのです。それなりに、のめり込みました。すぐに、簿記・財表の学習をはじめます。1級取得にこだわりたい気持ちもありましたが、これは素直に諦めました。諦めたことは残念でもありましたが、今振り返ってみると、受験勉強での妥協は、これが最初で最後です
 
 半年間の学習を踏まえ大学四回生の8月にはじめての税理士試験に挑みました。合格発表の前に、私立の大学院に3校合格します。第一志望だった神戸大学の大学院は不合格でした。入試の結果から、一番学費が安く済む大学院に進みました。結果的に、学部から院への内部進学でした。簿財の勉強から会計学の面白さを知りもっと勉強をしたいという学問に対する純粋な気持ちが出始めていた頃です
 
 さて、ここで、大学院による試験免除と税理士受験との関係に言及しておかなければなりません。結論から申し上げると私は簿・財・所・法・消の5科目に合格しています
 
 修士号を持っていますので、申請をすれば簿・財の2科目が免除だったようです(当時は2科目免除)。大学院への進学について試験免除狙いの動機が皆無だったかと問われれば、皆無とまでは言い切れないでしょう。
 
 しかし、学歴で勝負しないと誓った以上、免除申請は私にとってはタブーです。簿財の一度目の受験は失敗していましたので大学院入学後の最初の4ヶ月は必死に簿財の受験勉強をしました。大学院での課題もありましたので、大変でしたが、相乗効果もありました。
 
 幸運にも大学院に入った年に簿財に合格することができました。ここまでは、比較的順調な受験勉強でした。

 
次回(中)に続く。

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