2013,11月
税理士は神様のプレゼント
偶然は神様のプレゼントと云われます。税理士になりたくて税理士試験を目指したのではなく、仕事上での必要からたまたま勉強した消費税が税理士につながったF氏を紹介します。
F氏(現在43歳)は神戸市の県立高校を卒業し地元の国立K大学経営学部へ進学します。そして卒業後は一部上場の大手食品会社へ就職、配属先は工場の経理課主計係となりました。
7年間勤務したころ上司が新設された子会社へ転籍しその上司に誘われてF氏も出向し経理担当として赴任することになります。7年間の工場経理業務では大企業の工場部門での経理財務には詳しくはなりましたが、全社のBS(貸借対照表)、PL(損益計算書)の作成業務は経験できませんでした。
子会社へ移って1年目は全経理業務を任されBS、PLの作成から税務申告業務まですべてを担当し苦労はしましたがやりがいはありました。
2年目に入り部下も何名か付くようになりF氏の仕事に余裕ができ知りたかった消費税の勉強を始めます。半年の勉強でしたが成果を確認しようと税理士試験の消費税を受験しました。結果は不合格でしたがもっと真剣に取り組めば合格出来るのではとの手応えも感じました。
翌年は真剣に勉強しようと消費税だけではなく簿記論、財務諸表論も勉強します。その時もまだ税理士になりたいとは思っていなかったとのこと、働きながらの3科目受験は無謀な挑戦と云っても過言ではありませんがF氏にとっては怖いもの知らず、勉強そのものがおもしろかったのです。
その年になんと消費税と財務諸表論の2科目合格を果たします。その自信がF氏の進路を変えるのです。税理士を目指す決意を固めました。
翌年は会社を退職し受験浪人に入ります。生活は預金を取り崩しての背水の陣です。簿記論、法人税、固定資産税の3科目に挑戦しました。結果は法人税と固定資産税の2科目に合格、そして受験3年目に残した簿記論に合格し税理士試験合格を果たしたのです。
経理経験もあり税理士登録はできましたが税理士の仕事については全くの未経験者です。専門学校の就職面談会に参加し紹介された個人事務所へ就職することにしたのです。
税理士業務については経験が出来たのですが所長先生家族で運営していた個人事務所での限界を感じ半年余りで退職をします。個人の会計事務所での壁を感じたF氏は経験のある企業への転職を模索し大手製鉄会社グループの総合病院の経理職に就きました。
医療業界の経理業務は良い経験にはなりましたが病院特有の資格者の集まりである人間関係に苦労し再度会計事務所への転職を考え人材紹介アイの求職相談に足を運んだのです。5年前の梅雨時でした。
税理士を必要としている事務所への転職を勧め大阪のK先生の事務所を紹介しました。K先生とは30年来のお付き合いで業務内容も理解していたこともあり自信をもってF氏を紹介し採用となりました。
そして2年半後に40歳になったF氏は生まれ育った神戸に戻り独立開業をしたのです。事務所名に神戸市の市花の名を付けました。
今月、開業3年目のF氏の事務所を訪ねました。地元では有名で活気ある商店街の店舗の2階がF氏の事務所でした。
開業して1年目は1件の顧問先からのスタートで生活の為に公庫から借金をしたとのこと。2年目に何とか会社員時代の収入は確保ができ3年目の今年は4桁代の収入になり将来の展望が開けてきたとのことでした。
11月22日(いい夫婦の日)に付き合ってきた彼女を入籍しました。そして来年は店舗型の事務所を商店街の1階に開設したいと顔をほころばせます。
どうやらF氏にとって税理士は神様の良いプレゼントになったようです。12月は税理士試験の合格発表があります。また誰かが神様からのプレゼントを受け取るのでしょうか・・・。