2017,4月
M氏のプロフェッション戦略(上)
成功する人は「自身にあるものを最大限使える人」だと云われます。今回は税理士になるために会計士試験の制度変更を利用し税理士の資格を手にしたM氏(36歳)の受験から開業、そして今後のことを投稿していただきました。
私は税理士試験と会計士試験の両方を受験していましたが、当初は地元で活躍できる税理士を目指すため税理士試験を受験(簿記・財表には合格)していました。そもそも税理士を目指したのは大学の学部が経済学部だったということもあり会計、経営に興味があり、一生の仕事として捉えられる職業と思ったからです。
とはいえ大学生のころはそこまで熱心に勉強していたわけではありません。その後、縁もあって地元の税理士事務所に就職することができました。そこでバリバリ仕事をしている所長の姿を見て自分も資格を取得したいと真剣に思うようになり、この時期から本腰を入れて勉強を始めることになったのです。
ただ、ちょうどこの頃公認会計士の試験制度の変更が行われ税理士試験から公認会計士試験の鞍替えを決めたのです。理由は以下の3点です。
① 公認会計士試験の制度変更により合格者を増やすというアナウンスがあったこと。
② 公認会計士の登録ができれば税理士の登録もできるということ。
③ とにかく短期間で結果を出したかったということ。
まず、①の合格者を増やすというのにはかなり魅力を感じました。私みたいに特別勉強ができるわけでもない人間が結果を残すには戦略が必要になります。公認会計士試験の合格者を増やすというアナウンスを聞いた時にふと思ったのが「たぶん合格者が増えるのは最初の2~3年だけだろう」ということです。
大体こういう場合の制度変更ではそのルールを作った側の顔を立てるため必ず最初は想定通りの結果を出すように調整します。ご存知の通り一旦合格者はアナウンスした通りの人数となりますがその後は激減しました。このことは司法試験も同じでした。しかし、だらだらと長期間勉強する気のなかった私にはタイムリミットがある方がちょうどよかったのです。
次に、②の税理士登録もできるという点はなんとなく知っていました(だから試験を切り替えたのですが・・・)。実をいうと地元に大企業がない私にとって公認会計士という職業には全く触れる機会がなかったのです。そのため仕事内容もほとんど知らず・・・、今思えばその方が変に気負わず受験できたのかもしれません。
そして、③の短期間で結果を出したかったというのも大きな理由の1つです。世間的には税理士試験は仕事をしながら1科目ずつ合格し10年くらいで5科目合格を目指す感じですが、会計士試験は原則一括合格で大体2回の受験(勉強期間は2年半から3年くらいでしょうか)で合格する方が多いいのです。
ということもあり私は縁があって税理士事務所に就職したにもかかわらず1年ほどで退職し公認会計士試験の受験勉強に入ったのです。(ご安心ください!その会計事務所とは今でもお付き合いをさせてもらっています)
そして、本格的に受験勉強に入りましたがはっきり言ってこの頃の記憶はほとんどありません。なぜなら私の場合、全ての講義をWEB通信で受けていた為にどこにも行かず、ただただひたすらに勉強だけをしていたからです。最低1日12時間、365日1日も休まず、私が受かるまで約2年半の間です。
勉強方法はいたってシンプルでした。コツコツとテキストとテストをこなすのみ。独断と偏見ですが資格試験で重要なのは「穴」を作らないことです。受験生みんなが知っていることを自分だけ知らないのは致命的になります。
公認会計士試験は得点比率でいうと50%ちょっとで受かる試験です。受験生皆がそんなにできるわけではないのです。だからこそ穴を作らないようにまんべんなく勉強していれば何とかなります。普段からちゃんと勉強していれば本試験の時も解ける問題は解けるし、解けない問題は周りも解けないと安心できます。
そんな感じでがむしゃらに勉強することで何とか合格(奇跡!)できたのです!ただここで問題が起きます。会計士は試験合格後に補習所というところで研修を受けなければならなかったのです。そのことを全く知らない私は地元から近い大阪の補習所に通うべく引越しをするのですが仕事の宛は何もありませんでした。
その時にお世話になったのが人材紹介アイでした。紹介を頂いた会計事務所に就職し、その後一度の転職を挟んで公認会計士の登録に必要な実務経験と研修をクリアし、とうとう念願であった公認会計士と税理士の登録をすることができました。
*次回(中)に続く。