2018,12月
税理士試験受験者及び合格者の推移(2018年の結果より)
税理士試験受験者及び合格者の減少に歯止めがかかっていません。現象のきっかけは2008年のリーマンショク前にさかのぼります。2005年(平成17年)をピークに減少が始まり2011年に22年続いた50,000名代を割り込み、2015年には40,000名を割り込み2018年(平成30年)まで右肩下がりが続きます。
◎税理士試験受験者(総数)と税理士試験5科目合格者(総数)
(受験者総数) (5科目合格者総数)
2005年(平成17年):56,314名 1,055名
2011年(平成23年):49,510名 1,094名
2018年(平成30年):30,850名 672名
◎上記項目での関西地区は
(受験者総数) (5科目合格者総数)
2005年(平成17年):11,697名 226名
2011年(平成23年):10,128名 227名
2018年(平成30年): 5,826名 129名
上記より関西地区の受験者総数は平成17年のほぼ半数にまで減少し、5科目合格者の減少も全国レベルより6.7ポイント低く地盤沈下が著しい状況です。
次に22年続いた50,000名代の受験者数が初めて50,000名を割り込んだ2011年(平成23年)と2018年(平成30年)の受験者数、5科目合格者数の年齢別の推移は以下の通りです。
◎年齢別の受験者総数
2011年(平成23年) 2018年(平成30年)
25歳以下 8,066名 → 3,657名
26~30歳 10,955名 → 4,900名
31~35歳 10,995名 → 5,716名
36~40歳 8,520名 → 5,268名
41歳以上 10,974名 → 11,309名
◎年齢別の5科目合格者数
2011年(平成23年) 2018年(平成30年)
25歳以下 76名 → 51名
26~30歳 202名 → 99名
31~35歳 305名 → 133名
36~40歳 251名 → 142名
41歳以上 260名 → 247名
年齢別で顕著なのは受験者数、5科目合格者数ともに40歳までは確実に減少(特に受験者数では30歳以下が、合格者数では26歳~35歳が半数以下の状況です)しているのに41歳以上の受験者総数は若干増加していることです。おそらく40歳代で3科目以上の科目合格をされている方は合格まで頑張り続けられることが原因になっているのかもしれません。
最後に女性の受験者数、5科目合格者の減少推移を上記と同じ総受験者50,000名を割り込んだ2011年(平成23年)と2018年(平成30年)を比較してみます。
◎女性の減少推移
2011年(平成23年) 2018年(平成30年)
受験者総数 12,082名 → 7,767名
5科目合格者数 272名 → 171名
2011年比率で見ると2018年の女性の受験者総数は64.3%で全受験者総数の54.9%ほど減少はしていませんが、5科目合格者数は62.9%で全5科目合格者数の63.7%を若干上回りました。
税理士は素晴らしい職業です。人材紹介アイは20代、30代の方の税理士試験へのチャレンジを大いに期待し、税理士そして税理士試験受験者への会計事務所への就・転職支援により一層精進してまいります。
ガンバレ!受験生。
税理士T子さんの開業物語(後編)
それでは、後半は、個人的な仕事の話を離れて、少し業界のお話をしましょう。
我々税理士は、日本税理士会連合会の税理士名簿に登載され、税理士証票を持ち、税理士バッジを付けています。そして、事務所所在地の税理士会に所属しています。それぞれの税理士会の下には地域ごとに支部があり、普段はその支部単位で活動を行っています。
ちなみに、税理士バッジの意匠は日輪と桜です。外側の円が日本の「日」を示し、「日」とともにどこまでも進行(隆昌)することを意味しています。中の桜は、日本の国花であり、また、大蔵省すなわち税を表しています。
桜花は、昭和31年の税理士法改正に伴い新たに特別法人である日本税理士会連合会が設立されたのを機に統一マークを制定した当時、大蔵省のシンボルとして使われていました。
業界の構造的には、平均年齢が高く、女性の割合が少なくなっています。世間ではいわゆるお局様と言われる年齢の私ですが、税理士業界にいると、若手どころか超若手も超若手。ベテランの先生方からするとひよっこどころか卵なんじゃないかと思うくらいです。
平成26年のデータになりますが、具体的な年齢分布は、60歳代(30.1%)、50歳代(17.8%)、40歳代(17.1%)、70歳代(13.3%)、80歳代(10.4%)、30歳代(10.3%)、20歳代(0.6%)となっています。男女比率は、男性85.5%、女性14.5%です。若手も女性も少ないことがおわかりいただけたでしょうか。その分、男女問わずたくさんの先輩方から可愛がってもらっています。
世の流れに乗って、近年、税理士業界でも女性登用割合の向上が言われるようになってきました。聞くところによると総務省の目標は3割だそうですが、先ほどもお伝えしたように、そもそも税理士業界にはそんなに女性がいません。
そこで、現実的な落としどころとして、役員に占める女性の割合を2割とするよう目標が掲げられています。そうは言っても、都市部以外の支部では全体的な女性の割合が2割にも満たないため、この2割ですら結構高い目標です。
そんな訳で、登録3年目に生まれ故郷に戻り地元の支部へ転入しましたが、転入後の1回目の役員改選で早々に支部役員の末席に名を連ねることとなりました。あわせて、支部推薦を受けて税理士会でも部員として委嘱を受けることになり、あっという間にどちらのお役も2期4年目に入っています。
地元で開業する前の勤務税理士の時代はもちろん、開業してからひっそりと仕事をしていた頃には知らなかった世界を見せていただいていて、とても勉強になっています。
会務に従事する周りの税理士さんたちを見ていると、みんな本当によく働いています。ともすれば働きすぎのきらいもあり、よい刺激を受けつつも、色々と気を付けないといけないなとも思います。
具体的な会務の内容としては、支部では総務委員会に所属し、支部運営が円滑に進むようにお手伝いをしています。また、年に1度、9月1日の「防災の日」にちなんで行う危機管理模擬訓練の際には、支部の災害対策室の一員として、訓練の間、支部事務局に待機して様々な事務にあたります。近年、地震や風水害などの災害が多発し、気が抜けません。
近頃は電子申告により申告書や申請書を提出する割合が高まり、昔に比べると書類を持って役所へ出向くことも随分少なくなりましたが、総務委員としての公務では意外とお役所との接点も多いです。
税理士会の方では、広報部に所属し、中でも若年層向けの対外広報を中心に行っています。若手会員を増やすべく、今期より様々な新しい事業を展開しており、忙しくも充実した日々を過ごしています。今種を蒔いている施策が芽吹き、今後たくさんの若者が私達の仲間になってくれることと思います。
このように、まだまだ若輩の身ですが、会務に仕事に私生活にとバランスに気を付けながら日々奮闘しています。若手も、女性も、まだまだ少ない業界ですが、今後どんどん新しい人が入ってきてくれるよう願っています。