本年の税理士試験合格発表(12月7日)まであと1週間となりました。昨年の合格発表日に官報で合格者の氏名を見ていたときでした。二人の氏名に目が止まり懐かしさがよみがえりました。調べてみると二人とも13年前に求職相談をさせていただき会計事務所へ紹介した方でした。Sくん(男性)とSさん(女性)です。
 
 13年前はお二人とも26歳でした。Sくんとは13年間年賀状のやり取りもありこちらから電話をさせていただきました。元気な張りのある声が返ってきました。「ありがとうございます。実はアイさんから紹介していただいた会計事務所は昨年末に退職し今年の試験には背水の陣で臨みました」とのことでした。
 
 合格祝いもあったのでSくんと飲みに行く約束をしました。久しぶりに会ったSくんとの飲み会は話が弾みました。ひとつの目標を手にしさらなる目標に向かうSくんの目はかがやいていました。13年前Sくんが求職相談に来られた時は、大手銀行を退職し簿記論・財表論はすでに取得し法人税法を受験した後でした。
 
 公認会計士事務所へ紹介したところ銀行での業務経験を評価されすんなりと採用まで行きました。受験した法人税法もその年の合格発表で合格を果たしていました。順調に行けば3~4年で税理士試験に合格するだろうと思っていました。なのに・・・、残りの税法2科目合格までになぜ13年もかかってしまったのか・・・を彼に聞きました。
 
 「間違っていました」Sくんの開口一番でした。Sくんの話はこうでした。必須税法である法人税法に合格したことも自信となりその後は毎年残りの選択税法を2科目受験し続けたとのこと、結果は6年目に1科目合格し残り1科目はさらに6年受験したが合格を果たせず40歳が目の前まで来てしまっていたこともあり、焦りも出てきて12年も勤めた会計事務所を退職し乾坤一擲、背水の陣を敷いたとのこと
 
 彼の失敗とは働きながら税法2科目を勉強したことだと云うのです。働き始めたときに欲張らずに1科目だけにしていたらと反省の弁を述べていました。さらに、最後の1科目に合格したその年の受験後の精神的なプレッシャーは軽いうつ病とまで診断されるほどのダメージだったとのことです。
 
 今年の春、Sくん、いや40歳を迎えたS氏は税理士として大阪のど真ん中、本町で独立開業をしました。そして猛暑となったひと夏が終わりワイシャツに汗の不快感を感じなくなったころS氏から電話が入りました。「運が良かったのか顧問先も少しづつ増えてきました。折り入ってご相談なんですが所員の採用を考えています。近いうちに事務所へ来ていただけませんか」とのことでした。
 
 会計事務所への人材紹介をさせていただいている私にとって何よりこの仕事をしていてよかったと思う瞬間でもありました。

 
後編(Sさんの場合)もご覧ください。