税理士試験まで1か月余りとなりました。今回はA氏の税理士試験逆転合格の話をさせていただきます。
  
 A氏が求職相談に来られたのは3年前の税理士試験が終わったまだ暑さを引きずる9月の初旬でした。すでに簿・財と相続税法の3科目に合格しその年は所得税法と消費税法を受験していました。
 
 履歴は国立大学を卒業し大手百貨店に勤めた後家業を手伝い、その後会計事務所へ転職し15年近く務めた同事務所を前年の12月に退職し税理士試験までは受験浪人をしていました。前職の会計事務所を退職し受験浪人をしたのは40歳を迎えたこともあり受験勉強にけじめをつける為の人生への賭けでもありました。
 
 受験の手応えを聞くと消費税法は大丈夫だが所得税法は難しいとのことでした。必須税法は蓋をあけるまでは分からないと云われています。まさに税理士試験のブラックボックスなのです。結果は天命を待つことにして、困ったのはA氏へ紹介する会計事務所でした。
 
 会計事務所のキャリアについては前職で15年近く所長先生の片腕を担うまでの仕事をしてきたので問題はないのですが、A氏の転職後の受験勉強が課題となりました。A氏は年齢とキャリアを考えれば次の事務所でも即戦力として迎えられますしそれ以上の業務も期待されることは目に見えています。おそらく平日の受験勉強は難しいと推測されました。A氏も業界については熟知していましたので覚悟は出来ているとのことでした。
 
 今一つは合格した場合も勤務税理士として続けられるレベルの事務所であり給与水準も前職を考慮していただけることを優先順位として探しました。その結果F事務所を紹介することになりA氏も承諾しました。
 
 税理士試験後でもありF事務所へは多数の応募者があり苦戦を強いられることになりました。3度の面接を終え最終結果が出るのにさらに10日ほどかかりました。A氏の条件面を考えるとF事務所以外の事務所への紹介は厳しいものがあります。他の事務所の紹介は取りやめF事務所一本に絞りました。まさに人事を尽くして天命を待ったのです
 
 A氏の決意は天に通じました。A氏のキャリア、そして人柄もありF事務所での仕事ぶりは期待を裏切りませんでした。ただその年の受験結果は予想通り所得税法は不合格でした。F事務所ではA氏も新入社員の一人です。キャリアを驕らず仕事優先の日々を過ごしました。次の年も受験はしたものの結果は蓋をあけるまでにはいきません。
 
 そして3年目に入り仕事にも慣れてきたこともありA氏は所長先生へ「今年こそ官報合格を果たしたいので確定申告後は退社時間を早めにさせていただきます」と願い出て了承を得ました。それでも8時~9時頃までは仕事から離れることは出来ませんでした。
 
 その年の3度目の所得税法の受験については所長先生へ直訴したこともあり退路を断つ覚悟で臨みました有言実行しかありません直前2か月前の模擬試験でD判定(合格不可能)だったA氏は諦めず徹底的に過去問の分析をしたのです一点突破に掛けました
 
 するとなぜかしら予想範囲が頭の中に浮かんできたのです予想は的中しましたその年の官報の合格者名簿にA氏は自身の名前を確認しましたA氏は起死回生の大逆転劇を自作自演できたのです
 
 今月A氏と一席を設ける機会を得ました。今までいつもこれでいいのかを自身に問い詰める選択をしてきたとのこと。税理士になった今は職業としてのこれでいいのかは実現したのでこれからは天職としての税理士の仕事をこれでいいのかと問い詰めていきたいとのことでした
 
 美味しいお酒が飲めた一夜となりました。